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医療者と患者との関係

ここ毎日、学校では卒論の準備で忙しい。今日は抄録ができあがってきたので、他の人の抄録に目を通す。みんな基本となるテーマが似ているということに気付く。
まだ学生だし、こういう看護を提供することでこういった成果がでた!という本当の意味での論文というのは少ない。“こういうことに気付き学びを得ることが出来た”といったものが多い。
その中でも、人間関係の確立についてかかれていることがことさら多い。
「看護の対象は人間であり、人間関係なくしては看護を提供する事はできない。例え提供していたとしてもそれが、患者に届いていなければ無意味なものとなる。」
当たり前のことですが、実習という臨床の場に出るとつくづく感じることが、この人間関係。そして、信頼関係の大切さ。
これは看護の場面だけにいえることではなく、もちろん一般社会においても大切なことではありますが、医療の世界では特に重要であり、昨今医療訴訟が増加している背景には、この基本となることが抜け落ちていることも原因としてあるのではないでしょうか。

先日、医師免許をもたない男が何年にもわたって医師として勤務していたことが発覚し、逮捕されたというニュースを目にしました。よく何年ものあいだ、ミスをせず滞りなく診察が行われていたもんだと、感心します。しかも、患者さんからの評判は良く人気があったとか。以前にも、准看護師(だったかな?)が、個人医院で医師として、働いていて、そこでも大変評判が良かったというニュースもありました。
これではホンモノの医師免許を持つ医師の専門性って一体なんなの?と疑問を抱いてしまいます。迷惑な話でもありますよね。

でも、このどちらも「評判のいい医師だった」ということは、気に留めておかねばならないところでしょう。つまり、患者にとって「いい医師」「いい看護師」「いい医療者」とは、話をしっかり聞いてくれる、患者の視点にたってくれる人なのではないかと思います。老人の方だと、医師に話を聞いてもらうだけでも、体の調子が良くなるとかそういう話を聞くこともあります。
極端な話、技術や知識だけが優れた医師と、そこそこの腕で話を良く聞いてくれ、受けとめてくれる医師とだったら、患者はどちらを選ぶんでしょうか。もちろん今回の素人による診察なんて、もっての他ですが、きっと患者はより人間関係において、信頼できそうな医師を選ぶんでしょうね。口コミってのは、たいがい「あの先生は、凄く真剣に考えてくれる、腕のいい先生だ」となることが多いので、内容までは届かないかもしれない。でも、医療と言うのは、対象が人間である以上、信頼関係抜きにしては成り立たないと私は思います。

先日まで行っていた実習先の師長さんも言われていました。
“なによりもまず大切なのは関係を築くこと。外来に来られている時から、一人一人を一人の人間としてみる。患者をモノとしてはみない。医師も家族のように心から接している。特に個人医院ではここが大切であり、関係が築けていれば、ちょっとしたことでも理解を得られるし、お互いのために良い。大きな大学病院や総合病院ではコロコロと担当医がかわり、関係も築けにくい環境にある。だから訴訟がおこりやすい。”
個人医院では一度訴訟が起こると医院そのものの存続が厳しくなることも理解しておられるのだろう。もちろん事故が起こってはいけないが、訴訟までいきつくことは両者にとって、心に傷を負うことともなり、いい結果は到底望めない。患者にどう納得してもらうかは、医療者の態度一つで案外決まってしまうものなのかもしれない。

そんなことをグルグル考えていた一日でした。
by himenobile | 2005-12-09 02:40 | ♪看護&医療

チャリンコを走らせながら日々の思いを書き綴る、小ナスの言いたい放題日記 


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